「それでね、地面の下にまでお部屋があるんだよ」
お金のお話が終わったみたいだから、今度は買ったお家のお話をしてあげてたんだよ。
でね、イーノックカウのお家には地面の下にもお部屋がある事を教えてあげたら、お父さんがうれし応なお顔になってこんな事を聞いてきたんだ。
「ほう。どういう事はもしかして、イーノックカウの家には酒が置いてあるのか?」
「何で知ってるの?」
「そりゃあ、お貴族様の家にある地下室といったらワイン貯蔵庫だからさ」
さっきのお話の中でお爺さん司祭様が、僕が買ったのは準男爵様が事業ってのに失敗したからバーリマンさんに買ってもらったお家なんだよって教えてくれたでしょ?
だからお父さんは、貴族様のお家にある地面の下のお部屋だからお酒が置いてあるんじゃないかなぁって思ったんだって。
それを聞いた僕は、だからわかったのかぁって思ってたんだけど、そしたら横で聞いてたお母さんが、それはちょっとおかしくない? って言ったんだよね。
「何がおかしいんだ?」
「だって元は準男爵の館だったとしても、借金の返済のために錬金術ギルドのギルドマスターが買い取ったんでしょ? ならそこに住んでいたわけじゃないだろうから、そこにお酒があるのはおかしくないかしら?」
お貴族様のお家のまんまだったら、そこにお酒があっても変じゃないよね?
でも僕が買うまではバーリマンさんは持ってて、それまではだぁれも住んで無かったんだからお酒があるのは変じゃないの? ってお母さんが言うんだよ。
「そう言えばそうだな。ルディーン、その酒は、ずっとその地下室にあったのか?」
「ううん、違うよ。ロルフさんちの人が持ってきて、地面の下のお部屋に入れたんだって」
地面の下にあるお部屋は僕んちにあるんだけど、そこにあるものを使うのはロルフさんちから来てるメイドさんたちや執事さんたち、それにニコラさんたちでしょ?
だからそこにあるのは、みんなロルフさんちのもんなんだよ。
僕がそれを教えてあげたらね、お父さんはそうかぁって、ちょっぴりしょぼんってしちゃったんだ。
「ルディーンはまだ子供なんだから、例え地下に酒が残っていたとしてもその料金を上乗せして請求するなんて、あのギルドマスターがするはずないか」
「あの人もロルフさって言うお爺さんと同じで、ルディーンの事を可愛がっているようだったものね」
お父さんはね、もしかしたら地面の下のお部屋にお酒があるのは重たくて出すのが大変だからバーリマンさんがお家と一緒に売ってくれたんじゃないかなぁって思ったんだって。
でもそうじゃなくって、あそこにあるお酒はみんなロルフさんちのもんだってわかったでしょ?
だからお父さんはしょぼんってしちゃったそうなんだけど、
「そういえばお父さんたちが来た時は地面の下にしまってあるお酒、飲んでもいいって言ってたよ」
僕があそこのお酒、お父さんたちも飲んでいいんだよって教えてあげたらすっごくびっくりしたお顔になっちゃったんだよ。
「なに! それは本当か? ルディーン」
「うん。ストールさんがいいよって。それにニコラさんたちにも飲んでいいよって言ってた!」
ストールさんはね、あそこに置いてある中にはすっごく高いお酒は一個も無いからって、お父さんたちが来た時は飲んでもいよって僕に言ってくれたんだよね。
それにニコラさんたちも飲んでいい? って聞いたら、ストールさんはいいよって言ってくれたもん。
だから僕、その事をお父さんに教えてあげたんだ。
そしたらお父さんは大喜び!
ニコニコしながら、どれくらい置いてあるの? って聞くんだよ。
「それで、その酒はどれくらい置いてあるんだ? 小さな樽が2〜3個か? まさか大樽が一個置いてあったりなんかするのか?」
「ううん、違うよ」
お父さんがもしかしておっきな樽が一個とか置いてあるの? って聞いてきたけど、あそこにはもっといっぱい置いてあったでしょ?
だから僕、違うよって教えてあげたんだけど、そしたら何でか知らないけどお父さんはまたしょんぼり。
「違うって、もしかしてかめに入ったのが数個くらいしかないのか?」
「ううん。お酒がいっぱい入ったおっきな樽がね、すっごくいっぱい並んでたよ。それにね、奥のお部屋には冷たく冷やしたビンに入ったお酒も入れといたって言ってたよ」
でも僕がすっごくいっぱいお酒の入ったおっきな樽があるんだよって教えてあげると、お父さんはすぐに元気になって、
「そうか! それならいくら飲んでも大丈夫だな」
なんて言いながら、にこにこになっちゃった。
でもね、それを見たお母さんはすっごく怖いお顔になって、お父さんにコラー! って。
「何を言っているの、ハンス! そこに置いてあるのはロルフさんというお金持ちのお爺さんのものだと、さっきルディーンが言っていたじゃないの!」
いくら飲んでもいいと言われたからといって、好きなだけ飲んでもいいって事じゃないんだよってお母さんが怒ったんだ。
でね、お母さんに叱られたお父さんはまたしょぼんってしちゃったんだけど、
「まぁまぁ、そう頭ごなしに怒らなくてもよいではないか」
お爺さん司祭様が、お母さんにあんまり怒らないであげてって言ってくれたんだよ。
「ですが、司祭様。ハンスがあんな事を言うものですから」
「確かに少々はめを外しすぎな気もするが、実際にその場に行けばメイドたちの目もあるからのぉ。流石に先ほどの言動通りにふるまう事など、できぬとは思わぬか?」
「言われてみれば、確かにそうですわね」
イーノックカウの僕んちにはストールさんや、お勉強に来てるメイドさんたちがいるでしょ?
お爺さん司祭様とお母さんは、それだったらいくらお父さんでも好きなだけお酒を飲むなんて事できないねって笑ったんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
イーノックカウにあるルディーン君の館に置いてあるお酒ですが、実を言うとハンスお父さんの言う通り好きなだけ飲んでもらってもいいとロルフさんもストールさんも思っています。
なにせあそこにお酒が置いてあるのはあくまでメイドたちがお酒の貯蔵庫の管理をする勉強をするためであって、ロルフさんたちが飲んだり来客にふるまったりするための物ではないのですから。
なのであの大量の酒はある意味死蔵してあるものだし、いくら大酒?みだとしてもひと家族が飲める量なんてたかが知れているので問題は無いのです。
ただシーラお母さんがそれを許すはずもないので、ハンスお父さんが好き放題?むなんて事、できるはずもありませんがw
今週末、また出張になってしまいました。なのですみませんが月曜日の更新はお休みさせて頂き、次回は来週の金曜日更新予定となります。